チームが成功するには、能力以上に「役割の組み合わせ」が重要——そんな視点をくれる理論をご紹介します。
「ベルビンチームロール」とは、チームワーク理論の第一人者の一人であるメレディス・ベルビン(Meredith Belbin)が著書において記述した「個人の役割評価・チーム構成」に関する理論です。
この「ベルビンチームロール」では、「自分はチーム・組織の中でどのような役割を担っているのか」「我々のチーム・組織はどのような役割の人材で構成されているのか」といったことがわかります。
ベルビンは「チームが成功するには9つの役割が機能していることが重要」と主張していました。この考えは、チームや組織の成功にはメンバー個人が持つある種の性格が強く関わっていて、各人の能力よりも着目すべき点である、というものです。
結果的に、働いてくださる方の満足度も上がり、業績が上がりやすくなります。
この9つの役割は、体験を踏まえて「思考力」「行動力」「影響力」の3つの能力に分けて紹介できます。
創造力があり、困難な問題に独創的な解決策を見つけられる人
特定分野の知識やノウハウをもつエキスパート。限られた専門分野での貢献を望む人
論理的な思考を提供し、感情に流されずチームの意見を判断できる人。優れた戦略的判断力を持つ人
ベルビンのチームロールモデルは大きくわけて9つの役割あります。が、その9つも大別すると、「思考力」「行動力」「人への影響力」という大きな能力に分けられると考えられます。
このベルビンさんのチームロールモデルは、「得意なところもあるけれど、それは時に短所としてみられることもあるよね。それをチームでうまく活用し合おう」という発想が私は凄く現実的で、すっと腑に落ちた感覚がありました。
例えば思考力のPlant(策略家・計略家)の方々は、創造力が豊かで、自由な発想ができ、問題解決の策を練ることが上手いなあと。が、発想した後に実行するのは違う人という場合もある気がします。時に創造力がとんでもなく実行性がないこともあるように感じる事があります。
そんな時に、同じ思考力の「警告者」とも言うべき存在が、的確な判断を下したり、止めることもあるように思います。すると、ディベートではないですが、同じ思考系の「専門家」が「こうだったらできるのではないか」と策略家の方の援護をすることもあるだろうし、専門家として「警告者」側の根拠を伝える事になるかもしれませんが、いづれにしても、3つの役割が相まって、思考が固まっていくという場面を何度も目の当たりにしました。
特に、策略家は、時に警告者を相談相手として選ぶが、時に反対される人として嫌がることもあるけれども、警告者が居なかったら、発想が飛び過ぎて大変なのかもしれません。更に、専門家の意見があることによって、挑戦も可能でしょうし、現段階での限界値も観られるのかもしれません。専門家が、あまりにも挑戦しない人だと、何でもNOという人になってしまうので、専門家にも策略家のように、ある意味、無理難題を考えてほしいと言ってくれる人が居る事でより良いものができるのかもしれません。
思考力も、1つじゃ足りなくて、この3つの役割があって丁度良いのだなと体験からも感じました。が、これだけだと、考えるだけで終わってしまいます。そこには、実行に移す力が必要で、考えたものをどう行動に移すのかです。思考と実行の両方があって、物事は動き始めるのだなと感じます。
初出:ブログ「チームロールモデルの3つの能力(思考力)」(2021-12-07)を基に加筆・再構成
チームが進むべき道をつくれる人。挑戦的で、精力的に障害に立ち向かい、議論や行動を誘発し結果を促す人
アイデアがあり、プロジェクトの計画・仕事の委任・明確な目的と目標をスケジュール感を持って実行に移せる人
完結まで最高の品質管理を行うために細部に注意を払い、粘り強くやり遂げる人。誤りや手抜きにも厳密な人
行動力で言うと、「初動」が得意な人と「維持」が得意な人がいらっしゃるように思います。初動でも、「まずここに集中しよう」「こことここは同時並行でやろう」など、誰がどこにいつ集中するのかも考えながら実行する人と、「結果」に向かって、まずやっていこうと熱意を持って推進して動いてくれる人がいらっしゃるように思います。
「実行者」だけだと、とにかく好き勝手に始めてしまって、バラバラになってしまい、それぞれが結果に向かっていたとしても、エネルギーが分散してしまいます。綱引きで言うと、バラバラなタイミングで綱を引くのではなく、シェイパーとも言うべく「この瞬間に同時に引くよ」と同じ時に集中してエネルギーを同じ方向に集中できるように言ってくれる人が居ると、実行者もエネルギーを集中しやすくなります。
とは言え、長期的な場合、初動だけでは完遂できません。最後までしっかりと「できました」「良い成果にするためにここもやらなくちゃ」などと最後まで動いてくれる人や、維持してくれる人が居て、最後まで頑張り切れます。行動するにも、行動の仕方もそれぞれあり、それぞれの行動力の発揮の仕方があってこそ、最後までやり切れます。
が、これまた少人数ならまだしも、人が増えたらどうでしょうか。統制がとれなくなったり、自分達だけではどうしようもないときに応援や支援をお願いする動きが必要になる時に、「社内、社外の人に影響を与えてくれる能力」が必要になってくるように思います。
初出:ブログ「チームロールモデルの3つの能力(行動力)」(2021-12-08)を基に加筆・再構成
外交的で熱中しやすく、市場機会などのリソースを特定し好機を探る人
優れた議事進行者で、明確な目標を示し意思決定を促す。チームの目的に焦点を合わせ、適材適所を任せる人
感情的・作業的支援をし、チームメンバーの協業を手助けできる人。協調性があり、人の話をよく聞いて築き上げる人
いざ、人が増えたり、その中で知恵が足りないという時に、この影響力を持っている人と言うのは大きいなと感じています。「調整者」である人が、チーム内のバランスをみたり、目標や目的に向けて、羊飼いのように「こっちを手伝ってよ〜」「あっちのことやった方が上手くいくんじゃない?」などと、発しながら、その人が言ってくれるからこそバランスを保ちながら、チーム全体が動いていくように感じる事があります。
この人とは違い、自ら「手伝おうか」「手伝うよ」と支援してくれる「協同作業者」もいらっしゃいます。それでもいっぱいになってしまうと、「他のチームにも声をかけてみるよ」「外部で頼んでみようか」など、外にも働きかけてくれる人が居ます(資源探索者)。そして、そこで「なら手伝おうか」と外部から「協同作業者」になってくださる方もいらっしゃるわけです。
こうしてチーム全体を俯瞰しながら動ける人、声をかけられる人が、影響力を発揮してくれることで、チームとして思考を形にしていくことができるのではないでしょうか。
3つの能力の一つでも欠けたら、良いものは生まれないでしょうし、続いていく事、成長していくことができないように思います。それぞれが、役職ではなく、役割として自然にできていること、そのチームの中だからこそ、自分が担っていこうと決めてやっていること、などあるでしょうが、良いチームにはこの役割を一人が何役も担っているとしても全部の役割をそれぞれどなたかが担っているように感じました。
初出:ブログ「チームロールモデルの3つの能力(影響力)」(2021-12-09)を基に加筆・再構成
実際にこの理論を知った時の衝撃は計り知れなかったです。特に職場で「私はこんなにも勝手に役割を背負っていこうとしているから苦しかったんだ」と。
それからは、極力適材適所を考えて、仕事の役割を分散していこうと思えるようになりました。悔しいくらい、自分が一人でやろうとしたときよりも、組織が上手く活き始め、この理論をしっかり活用すると、適材適所もそうですし、メリットを存分に生かしやすい役割を任せていけるだろうと思いました。
おかげ様で、リーダーの研修ではよくこの理論を使うようになりました。各メンバーがお互いの役割や、仕事の任せ方とタイミング、不足点を補い合うことで、チームがより良く機能します。
参考文献:Management Teams: Why They Succeed or Fail(R. Meredith Belbin, 1981)
スマイルコミュニケーションでは、この「ベルビンチームロールモデル」を用いた研修・グループコーチングサービスを提供しています。中小企業におけるリーダーシップ・マネジメントの改善に役立ちます。
9つの役割のうち、あなたにどの傾向が強いか、1分程度の簡易セルフチェックで確認できます。結果を見た後、詳しい解説をご希望の方には研修・グループコーチングでのご相談もご案内しています。
簡易セルフチェックをやってみる →