部下のパフォーマンスをあげるために上司ができること

「部下の主体性を引き出したい」と言いながら、やってみる前からダメ出しをする。我慢してみたけど、我慢できずに「やっぱりな」と我慢した後のセリフで付けてしまう。或いは、ため息をついてしまう。
結局、その後の部下の「やってみよう!」という気持ちを削いでしまうのは、上司の何気ない一言だったり、態度だったりします。この「何気ない」というものがクセモノで、取り方によっては「モラハラ(モラル・ハラスメント)と言われてしまうものになり兼ねません。
では、モラハラを恐れてしまって、上司が関わらなくなるのも違うとすると、どんな関わりが必要になるのでしょうか。

リーダーの集まりがあったのですが、その中で、部下が満足度も高く、パフォーマンスが高いと評価されているリーダーのやっている事について、考えてみようということになりました。
すると、明らかに違った点が2点ありました。

1点目は、「相手に対するリスペクト(尊敬の念)があるかどうか。」
「いくら部下でも、自分をリーダーとして成長させてくれる機会をくれている。」「この人しかもっていない強みがあって、私には太刀打ちできない部分がある。」「部下は変わりゆく現場で実践を積み重ねていて、マネジメントしている自分が味わった事のない事をいつも感じている。」「自分とは違うアプローチで達成する事ができるとしたら、自分は部下から学ぶ機会にもなる。」など、とにかく、自分が上で教えてあげるという立場ではなく、部下からも学ばせてもらうんだという思いを感じました。

だからこそ、失敗しても「いいねえ。面白い事が起こっているね。」「これは皆が一緒に学ぶ機会を作ってくれたね。」と叱るどころか、大歓迎らしいです。失敗が起こるということは、「リーダーとして、そういう場面が次に起こらないための伝え方はどうしたらいいのか。」「他の人も同じような事が起こらないようにするにはどんな対策が立てられるのか。」を考える機会をもらったと・・・。
同じような事を考えた事はありますが、それは後になってできることで、すぐにできるのは、日頃の部下に対するリスペクトがあるのだろうなと感じました。

2点目は、俯瞰する視点を持たせるような関わりを持っていることです。
今起こっている事についてばかり集中してしまいがちですが、そのリーダーは、
「そもそも、この会社になんで入ったんだっけ?」
「どうして、この仕事を続けているの?」
「これからやっていきたいことはあるの?」
「そのことと、今やっている事はどんな関係性があるの?」
と、今の仕事以外の事と、今の仕事を結びつけるような事を何度も伺っているようです。
つまり、「今の仕事の成果」だけに興味を持つのではなく、「部下自身」に対して興味を示し、その関連性を見つけていくのではなく、部下に自ら見つけさせているような問いかけをしているのです。
まさにコーチ!という思いがしました。

私達コーチもそうしたことをするのですが、さて部下に対して、そういう事が自然にできただろうか?自然にできるほどまでに意識し続けた事はあるだろうか?少し胸が痛みました。

なぜ、こうした事ができるようになったのかを伺いました。
すると、「私は元々は指示命令して、自分が正しいと思っていました。お恥ずかしながら、部下に集団で辞められた事があるんです。そこまでの事があって、初めて自分の関わり方を考えなおす必要があるんだと気付かされました。そうじゃないと、私自身が辞めされてしまいますからね。子供も小さかったですし、今変わらなければ、仕事を変えたところで何も変わらないと思ったんです。なので、コーチを付けました。それからですよ。変われたのは。コーチングの勉強はしていませんが、コーチの関わり方が、私を変えてくれたんだと思います。今でもコーチはついています。正直、バカ高い金額だなと思いましたよ。(笑)でも、それだけの投資価値はあったと思っていますし、今もあると思っています。おかげで私は、今会社でナンバーワンチームになっているのですからね。部下のおかげです。」と。

ちょっとコーチと言う職に有ることが誇らしかった。と同時に、部下に対してもコーチである瞬間が増えていっているのか、振り返る機会にもなりました。
リーダーとしても、コーチとしても、今一度、自分の関わり方が与える影響についても考えてみたいと思います。

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